電子メディアをめぐる考察 ~時代の波とどう向き合うか~
9月11日(水)午後7時より、あがたの森文化会館2-8教室において、本部役員を含めた約30名の参加者により子どもの安心安全を考える委員会・オープン委員会が開催されました。
講師に菅野中学校の校長先生であり、子どもとメディア信州の代表を務める 松島(まつしま)
恒志(つねし)先生をお招きし、「親子のふれ合いの時間を大切に ~電子メディアに頼らない子育て~」をテーマに講演をして頂きました。
松島先生が長年に渡り、松本市、佐久市、塩尻市、御代田町の小学3年生~中学3年生までの生徒さん全員を対象とし、およそ2万4千人が回答、またその保護者約4千人、さらに保育園・幼稚園保護者約3千人を加えた合計約3万2千人の回答を基にしたアンケート結果から、現状の子ども達のメディアに関する生の実情を教えて頂きました。
長野県の子ども達のスマートホン所持率は、小学6年生では全国46位、中学3年生も全国45位と所持率順位では低い結果となっているそうです。これは、確たる結果としては解明されていないものの「長野県は教育県」という古くから認識されている県民性が、各々に受け継がれてきた結果「携帯電話等を持つのは高校生になってから!」という親御さんの行動による結果では!という事です。ただし、所持率の低さをそのまま鵜呑みにする事は危険であり、それを示す結果として特徴的に多いのが「(両親との)共有所持の自分が使えるスマホを持っている」という子ども達が多数存在するという点です。
また、ネットへの接続方法に関して特筆すべき点が、小学生では「ゲーム機での接続」が、「携帯電話を使っての接続」を抜き、ダントツである点です。正に「小学生」という年齢を反映した結果であると共に、現在のゲーム機は、ネット接続機能が当たり前に搭載されており、ネットゲームや環境に子ども達が如何に簡単に接触できる状況であるかを突き付けられた内容でした。
中学生になると、携帯電話等を持つ子供たちの増加に伴い、「携帯電話での接続」が上位を占める様になるのは
想像の範囲ですが、その他、自宅での学習教材による「タブレットでの接続」が一気に増加するのも、勉強が大変になる中学生という内容を反映した結果だという事です。
ネットへの接続環境があると気になるのが「電子メディアの使用時間」です。
小学生では、平日の利用が大半が「0~1時間」ですが、2時間から、中には6時間以上の回答もありました。
中学生も小学生と同様の傾向となっていました。
また、これが休日になると、全体的に利用時間が増加し、使用時間が10時間を超える回答があるのも驚きのポイントです。これは、休日の子ども達が、食事を摂ったり、という生活に必要不可欠な時間以外の、起きている時間のほとんどを電子メディアに接触しているという衝撃的な結果があるという内容です。
この結果を踏まえ、子ども達の「スマホ等を使って生活は変わった?」というアンケート結果では小学生の場合「使用時間が長くなった」という自己認識している結果が1位となりました。しかし、驚愕なのは、「課金」が第2位であり、小学生のうちから、子ども達が既に何らかの内容でお金の問題に直面しているという点です。
中学生になると、学年性から「使用時間」「勉強時間」「睡眠時間」が割合的には増加しますが、「SNS利用」と、やはり「課金」がありました。
また、無視できないのが「出会い」という内容に対し、小学生~中学生までが少数ではありますが存在しているという点です。
また、上記内容を良く反映しているのが「スマホ等を使って困った(心配)な事は?」という質問に対し、ダントツ1位の回答が「お金」という回答である事です。
現在の子ども達を取り巻く環境において、コンビニ等で簡単に買えてしまう各種ギフトカード等の類、また親御さんとの共有形態をとるスマホによるクレジットカード決済等、子ども達が簡単にお金の問題に直面できる環境が出来てしまっている社会構造にも多くの問題がある事も再認識させられました。
特に、親御さんとの共有形態をとるスマホ等の環境から、課金ゲームに熱中するあまり、アイテム購入(通称「ガチャ」という奴ですね)を行い、50万円もの大金を使ってしまった例もあるそうです。
共有形態という形を取る結果、お金の請求が来るのは、クレジットカードの月の決算以降になり、支払い明細が届いてビックリ!という結末が待ち受けているのは、想像に難しくありません。
実際に、50万円分の「ガチャ」をどの位で消費できるか?という実際の検証結果では、実に2時間かからずに実現出来てしまうという衝撃の結果も教えて頂きました。(つまり、高額消費をしてしまった子どもは、一ヵ月かけてじっくり消費するのではなく、夢中になって一晩で消費してしまう可能性を持っている。)
また、こうなってしまう原因は「つい夢中になってしまい、やめられない」→「依存状態に陥っている」と考えられます。こういった不安内容を自分で認識しながらも「止められない」というのは重大な問題であり、待った無し!の所まで来ているという事を実感する内容です。
こういった電子メディアによる影響は、上記内容だけにとどまらず、子ども達の健康にも大きな影響を与えます。
昨今取り上げられる事が多くなった「ブルーライト」もその一つです。
ブルーライトの危険性は、割と認知される様にはなってきていますが、その結末まではあまり知られていません。
目の網膜を直接傷つけるブルーライトは、長くダメージを与え続けると、やがて「加齢黄斑変性」という病気になり、中途失明する可能性があるそうです。
また、忘れてはいけないのが「ネットによるいじめ」の問題です。
各単位PTAでも、いじめに対しては各学校等との協力により取り組んでおられると思いますが、根の深い問題であり、電子メディアと切り離して考えられない重要な内容であると再認識させられました。
他にも興味深い内容を沢山講演頂きましたが、通した上で大切な事は「過剰なメディア接触、希薄な親子関係、希薄な友人関係が、お互いの心をゆがめる」という事です。
これを解決する為に、まずは親子の関係改善がとても重要であり、親子で一緒に体験(共有)する事が大切であるそうです。例えば、「一緒に散歩する」とか「一緒にカラオケに行く」等々。
私達親の世代が子供の頃は「カラオケなんて…」という感じで子供の行く場所ではない的な教えであったと思いますが、現在では、その辺りの内容も、時代の変化と共に変わっているんだなあと改めて感じました。
講演会終盤で「親子のきずな」に関してとてもに感動する、タイ国のCM動画を見せて頂きました。
涙なしでは見られない、改めて、親子のきずなに対し、色々と考えさせられる内容でした。
(Youtubeで一般公開されておりますので、以下にURLを記載致します。)
https://www.youtube.com/watch?v=Lx7R0ejUysM
https://www.youtube.com/watch?v=YpHQkRibNj8
最後に、同席頂きました、二子小学校校長の奈良井 範久先生より、御講評を頂くと共に、これからの子ども達を如何にして良い方向に導いていくかという課題に向かって、熱い思いをお話頂きました。
時代の流れとは言え、良かれと思い進歩してきた技術ですが、悪影響を与えている部分も多大にある事を再認識し、元気で伸び伸びとした子ども達の生活環境を創る為に、私達大人が何を出来るか?
課題は山積みですが、地道な一歩一歩が必要だと改めて感じる講演会でした。
取材 広報委員会委員 吉崎浩一(松島中)
講義をする松島先生
参加者のみなさん
スマホ、ゲームは生活や学習面などあらゆる場面に影響をおよぼす、というデータです
スマホの共有には危険な一面も
身近で切実な問題なので、みんさん真剣に聞き入っています
講師の松島先生と加藤委員長、役員のみなさん
お疲れさまでした!